書評 book review 2004 9 18

書名 金融構造改革の誤算
著者 大崎貞和
出版社 東洋経済新報社

 この本は、あえて、意見が分かれるテーマを選んで書いています。
これは、著者の個性なのでしょうか。
しかし、このように、議論になりそうなテーマが多ければ多いほど、
それはそれで、読み応えのある書物になります。
 ただ、残念なのは、
この本は、大学生レベルで書かれていますので、
あまり売れていないのではないでしょうか。
おそらく、業界関係者が買ったぐらいでしょうか。
 日本において、売れる本にするには、
中学生レベルで書かないとダメです。
 何しろ、高校の現代国語の教科書を読んでみると、
格調の高い名文が多く、難しいと感じる人が多いでしょう。
だから、高校生レベルで本を書いてしまうと、やはり売れないのです。

ベストセラー bestseller 2004 9 5
 本をベストセラーにするには、中学生レベルで書くこと。
これが、今の基本法則です。
 なぜか。
それを説明しましょう。
ここに、有名な文学作品を紹介します。
「智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、
詩が生れて、画が出来る。」
(夏目漱石 「草枕」から)
 この本は、私が高校2年生の時、夏休みの宿題だったのです。
暑い中で、大汗をかきながら、読んだ記憶があります。
 今、この本は、売れていないでしょう。
書店に行ったら、この本は、小さな書店にはなく、
大きな書店でも、奥の方に、さびしく、目立たない場所においてありました。
 日本を代表する作家で、しかも、代表的な作品が、
この有様では、日本は、とても文化国家とは言えません。
今、日本では、文学は死亡していると思います。
 文学を書く作家は生きていると思いますが、
文学を読む読者は死んでいると思います。
 いや、作家も怪しいのです。
売れる本にしたいから、
中学生レベルで、本を書いている感じがします。
 これで、いいのでしょうか。
確かに、日本は技術立国です。
しかし、それでも文学は必要です。
 いつの日か、本当の文学作品がベストセラーになる日が来ることを祈っています。
何世代にも渡って読み継がれるような文学作品が出てくることを祈ります。






























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